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※ボーカロイド=歌うの専門のアンドロイドをご想像ください。
※マスターとKAITO,MEIKO,ミクの3兄弟は同居。
※マスターはKAITOと同年かそれより若い子。
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「マスター!マスター、アレ!あれ!」
「なに?…なんだ、ただの噴水じゃんか」
「噴水?…ただのって…だって上のほうまできらきらしてる…」
「ほら、水の中にライトがあるんだよ。で、えーっと、屈折だかなんだかで水は光を閉じ込めて反射する…から、上の方まで光が届くんだ……たかな。とにかく、別に珍しいものでもないよ」
「そーなんですか…。でも凄い…」
「…科学の結晶の分際で何を感動してるんだか」
「ぅ…。で、でも綺麗じゃないですか!」
「…まーな」


 マスターは最近ミクにかかりっきりだ。
 まだまだ手のかかる子だけど声は綺麗だし、俺やMEIKOより色んな曲を歌えるし、仕方ないとわかっているけど。
 はぁ。
 それでも、溜息が零れるのくらい許されてもいいだろう。うん。
「男の嫉妬は醜いぞ、かぁ」
 部屋で落ち込んでいたらMEIKOにそう笑われた。マスターは別にあんたやあたしのことを忘れたわけじゃないんだから、いつでも歌えるように調整しておけ、とも言われたっけ。
 わかってるけどさ。
「わかってるんだけどなぁ」
 はぁ。
 溜息がもう一つ。
 俺が零した吐息は真っ白に染まって空中にふわりと溶けていく。
 寒い寒い冬の道。首に巻いたマフラーに顔をうずめてゆっくりゆっくり脚を進める。
 わかってはいてもやっぱり寂しいものは寂しいんだ。だって俺たちは…俺は、マスターに必要とされていなければ、そこにいる意味がない。そこにある意味がない。
 はぁ。
 刺すような冷気の道をただ黙々と歩き続ける。
 冬の日暮れは早いから辺りはもう真っ暗だけど、クリスマスカラーに統一された町の中は華やかな電飾で飾り立てられていて、そこかしこの店先からはクリスマスソングが漏れ聞こえて、そこの一部にいるというだけでワクワクした気分になってくる…はずなのに、俺の足取りは重いまま。
 …はぁ。
 ……ホントに溜息しか出て来ない。悪い兆候だ。俺が暗くなってたらマスターにまでいらない心配をかけるかもしれない。……もしかしたらミクに夢中で気づいてくれないかもしれないけど………って…どこまでネガティブになってるんだか…。
「…ぁ」
 ただ黙々と歩いていた俺の耳に、明るく響くクリスマスソングに混じって低く聞こえてきたのは静かな水の音。

 『…なんだ、ただの噴水じゃんか』

 きらきら輝く水を空高く吹き上げる噴水がそこにあった。
 周囲に配された木々はクリスマスツリーに見立てられてでもいるのか、葉が枯れ落ちて寒々しい枝を電飾で飾られ、とりどりの色で輝いている。

「昔、マスターとここに来たっけ」
 MEIKOもミクもまだうちにいなかった頃。
 あの時は確か、「一緒に歌える歌」を探しに買い物に行った帰りだったはず。
 『気持ちよさそうに歌うKAITOが羨ましい。俺は音痴だから』
 照れくさそうに笑うマスターに歌う楽しさを教えたくて、俺がマスターを連れ出したんだ。
 めんどくさいとか寒いとか文句を言いながら、マスターも行かないとは一言も言わないで一緒に来てくれて、それが凄く嬉しくてそのときの俺は大分はしゃいでたと思う。

  …今から考えると可笑しいな。ボーカロイドの俺が主体で動いてたんだから。

 その帰り道、これを見たんだ。
  きらきらきらきら輝く欠片を振りまく噴水と、ちかちか可愛らしく輝くツリー。
 この光景に、まだ世の中に知らないことだらけだった俺は酷く感動したっけ。…感動したのに、マスターには笑われたんだっけ。

 思い出してくっと笑みが漏れた。

 その後、童謡にポップスに演歌に…ありとあらゆるジャンルの曲を手にして家に帰った俺たちは、音程やリズムなんて無視して、ただ歌詞を大声で歌って、歌って、歌って、余りの外し具合に二人で大笑いしたんだった。
 …次の日二人とも喉ががらがらで、顔を見合わせて苦笑したっけ。

 噴水を眺められる位置に置かれたベンチに腰を下ろし、あの時の他愛ないやり取りを思い出してまた笑う。…端から見たら妙なボーカロイドだろうなぁとは思うけれど止められなくて、仕方なくマフラーを引き上げて顔を隠した。

 きらきらきらきら
 噴水は光る欠片を振りまきながら水を噴き上げる。
 きらきらきらきら
 飽きることなくただ噴き上げる。
 さほど遠くないところから聞こえてくるクリスマスソングに合わせて踊るようにきらきらきらきら…。

 思わず、マフラーの陰で微笑みながら、俺も一緒にクリスマスソングを口ずさんでいた。





「KAITO!」
「ぅえ!?」
 どれだけそこでそうしていただろう。
 いきなり呼びかけられて飛び上がり、声の主を探して左右を見回す。
「お前っ こんなとこで何してんだよ!」
「ま、マスター?」
 寒さのせいか怒りのせいか、鼻の頭と頬、耳を赤く染めて、怖い顔でずんずん歩いてくるのは見間違えるはずもない俺の主人。
「こんな時間までこんなとこで…心配するだろ!」
「え、あ、ご、ごめん、なさ、い…?」
 反射的に謝って、今何時だろうと視線を巡らせても時計は見つからない。
「ほら立って。帰るぞ!…こんなに冷え切って…風邪引いたらどうすんだよ」
 ぎゅっと眉間に皺を刻みながら俺の手首を取り、強い力で引き立たせ、きりきりと釣りあがった目でこちらを睨むマスターは肩で呼吸を繰り返していて、これだけ寒いのに、うっすらと汗をかいていて…。
「…ボーカロイドですから、普通のウィルスには感染しませんよ」
「…っ…わかってるよ。…ほら、帰るぞ」
 今まで、一生懸命俺のこと探し回ってくれていたんだとわかってしまった。
 わかってしまったら、どうしようもなく嬉しくてたまらなくて、俺の顔はきっと今どうしようもないほど緩んでる。
「マスターこそそんな薄着じゃ風邪引きますよ」
「誰のせいだと…」
「俺のマフラー貸してあげますから、ちゃんと巻いてください」
「…」

 それから、俺とマスターの間に会話はなく、表情が緩みっぱなしの俺は仏頂面のマスターに手首を握られたまま家まで連れ戻された。
 行きとは違い、クリスマスに浮き足立った町の中で、俺の足取りは妙に軽かった。







オマケ
〜砂糖吐いたヒトビト用(反転してどうぞ)

「ねえお姉ちゃん」
「な〜に、ミク」
「これ、ちょっとリリカルすぎない?」
「ちょ…っ!! あんた勝手に何読んで…っ!!」
「え?お姉ちゃんのパソコンに入ってたテキストデータ?」
「あwせdrftgyふじこlp…っ!?」
「お、お姉ちゃんがバグった!?」
「バグってないっ!読んじゃだめだってばーー!!」
「今更だよ〜♪この間、もっとえっちぃの読んじゃったし♪」
「…」
「で、これなんだけど、ちょっとリリカルすぎない?」
「…いーのよそれは…。半分実話だし…」
「え。そーなの?」
「そー…」
「…じゃあ今マスターが風邪で寝込んでるのって…?」
「噴水がどうとかは捏造だけど、KAITOがあんたに嫉妬して凹んでたのもぷち家出もマスターが探して歩いてたのも実話…」
「…お兄ちゃん可愛い!!」
「ホントにねー。そしてあんたは可愛くないわー」
「えーっこんなに可愛いじゃな〜い」
「可愛い妹は勝手に人のパソコン弄らないわよ!もうどきなさい!」
「いやーんお姉ちゃんのえっちぃ〜♪」

* * *

「何騒いでるんだ?ミクとMEIKO…」
「さぁ?様子見てきますか?」
「いや…なんか嫌な予感するし…いいや」
「?」



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…自分が砂吐いたんで(笑)

ヤンデレが今(一部で)大流行してますね。
ヤンデレ…好きは好きなんですが、余り大量に読んだり書いたりしすぎるとテンションダウンで大変な事になるので浮上するために可愛いのを書こう!と思ったら酷いことになりました(←
ヤンデレは見るだけで満足ですw

クリスマスソングを微笑みながら口ずさむKAITOは可愛いと思うんだ(゚∀゚)
「真っ赤なおっはっなっの〜♪」とかだと更に和む…(笑)