『っ…ん』

何やら怪しげな声が聞こえるわ。しかも男の。
ま、男の5%はガチでホモなんだから、それ自体は別にどーでもいいんだけど。
問題は、ここが部室棟だってことよね。
あーやだやだ。TPOをわきまえない連中ってホント迷惑。
皆少しはあたしを見習って、早いとこ恋愛感情なんてはしかみたいなもんだってことを学習してくれないかしら。うっとーしいったらないわ!

『ぅあっ…痛…ぇっ』

…ちょっと待ちなさい?
この声には聞き覚えがあるわよ?

あたしはのらくら歩く足を叱って廊下を走りだした。
見慣れた角を曲がると声はよりはっきり聞こえてきて、さらに…

「みくるちゃん!」
「あ、す、涼宮さん…」

目的地であるSOS団部室前には、鞄を持ち、制服姿のままで真っ赤な顔をした我が団のマスコットガールが所在なげにたっていた。
怪しげな声はしっかりはっきり部室の中から…まどろっこしいわね。
部室の中からはキョンの喘ぎ声がひっきりなしに響いてきてるのよ!わかった!?
相手の声も聞こえてはいるものの、低すぎてはっきりしないのよね…
「あ、あの…っ」
みくるちゃんが顔を赤やら青やらに塗り替えながら声をかけてくるのを後目に、あたしは灰を大きく膨らませ、扉を蹴り開けた。

「ちょっと!! ナニしてんのよあんたたちっ!!?」

そこに展開していたのは、めくるめく薔薇色の世界……








「…何って…長門がマッサージしてくれるっていうから…」








……では勿論なく、キョンの間抜け面と、その肩を掴んだ有希の少し楽しげな無表情と、古泉君の苦笑…。
…何、このお約束展開…。

「紛らわしいのよキョンっ!!罰として校庭を素っ裸で20週!!待ってピンクの妖精さ〜んといいながら走ること!!」
「ちょっと待て!!まず理由を明確にしてから怒れ、頼むから!!」



*  *  *

「涼宮さんは、どうやら何かを勘違いなさったようですね」
「勘違いで校庭はしらされてたまるか」
「ふふ」
「…この世界はハルヒの望んだ通りにコトが起こる、って言ったな?このベタベタな展開も、ハルヒが望んだってコトか?」
「さぁ…。もしかしたら、涼宮さんが扉を開ける直前までは、涼宮さんが勘違いしていたようなことが起こっていたのかもしれませんよ?涼宮さんが見たくないと願ったから、世界は改変され、状況が変わった…」
「…マジか?」
「仮説にすぎませんよ」

そう言って、古泉は綺麗ににっこりと微笑んだ。

ミクシィに書きなぐったものを転載。
お約束ネタはどんなジャンルでも用いられるからこそお約束なんだとおいらは思うのです。

このキョンと古泉の関係はご想像にお任せします。