2・「今日は久しぶりに出かける予定だったのですが…」
「…お前もしかしてツイてない奴?」<2/5・キョン&古泉、友達>
滅多に聞こえない愚痴を聞いて、俺は何だかおかしくなった。
わざわざ口にするってことは、それだけ楽しみにしていた予定だった、ってことなんだろう。
そう考えて、次にほんの少し不憫になった。
「誰かと約束だったのか?」
「えぇ。可愛い女性と、ね」
それはそれは。モテモテで羨ましいことで。
不憫がすぐにいい気味だ、に代わるのは…やっぱこの非の打ち所のない爽やかスマイルのせいだろうね。ああやだやだ。
「ドタキャン、などは余りしたくなかったのですが…」
「ハルヒ中心で動いてれば、デートする隙なんざないだろーが」
不思議探索は土日祝日、こちらの予定なんて問わずハルヒの都合と興味と機嫌で実施されるんだからな。あきらめろ。
「バイトだ、とかなんとか嘘ついて休めばよかったんだ」
「それで神のご機嫌を損ねてしまっては、結局休日出勤になるのは僕です」
ご苦労なこった。
肩を竦めてやると、更に万倍キマッた同じポーズを返された。くそ、忌々しい。
「…そんなに可愛い子だったのか?」
「ええ。とても素敵な女性ですよ」
「…」
遠くを見る目で多分その人を思っているのだろう古泉。…面白くない。
「おや、もしかして妬いてくれたんですか?」
「気色悪いことを言うな。可愛い女の子とお近づきになれてるのが…くそ、なんでもない」
視線を反らせば、奴は楽しげに笑った。くそう、忌々しい。
「さっさと行くぞ。そろそろハルヒたちとの待ち合わせの時間だ」
「はい」
笑い続ける古泉の背中を軽く叩いて、一人前を歩き出す。
後ろに続く古泉の気配を感じながら、こいつとこんな友達らしい会話をするのも悪くないと思った。
会話お題配布:トランプ配布所様